ー恋 愛ー
どこかで聞いたことのある声。
けど、誰かは分からない。
とりあえず、振り返ってみた。
「あっ…!
海渡君っ!!」
海渡君とは私が2歳の時からの幼馴染で、幼稚園、小学校、中学校の2年生まで一緒だった。
中3になる時、海渡君は引っ越しちゃって、それから毎日のように電話したものの、受験を控えた私は、自ら連絡を断ち切ってしまった。
怒ってるはずなのに、今、海渡君は私に優しい、ずっと変わらない笑顔を向けている。
「やっぱりゆきだ。
ここ受けてたんだ。」
「そーなんだ。
ていうか、怒ってないの?」
「何に?」
「受験シーズンの時、連絡断ち切っちゃったから……。」
私が遠慮がちにそういうと、ははっと笑った。
「なぁんだ、そんな事。
全然気にしてないよ。
今ここでこうやって会えたんだしさ。」
やっぱり、優しいのは変わらないな。
なんで、好きにならなかったんだろうね。
普通の女の子なら、メロメロキュンなはず。