先生の家政婦


あの迫力は…すごい。


あたしも引っ張られて引きずられながらあの群れの中に入った。


でも人が多すぎて先生の事はよく見えない。



「宏志(ひろし)先生~ねえ、先生ってなんの顧問やってるのぉ?」


千夏の甘ったるい声が聞こえた。

女って怖い…。



「え?あぁ科学部の副顧問だけど…」

「えー!じゃあ宏志先生は化学の先生?」


「そうだけど……あ、俺そろそろ職員室戻るわ!」



1組の担任、"宏志先生"と言う人は走って行ってしまった。


あたしは遠くで見てただけ。



すごいんだな…人気の先生って。




「麗奈見た?」


戻ってきた千夏が自信ありげにそう言った。


「あ、うん。凄かったね、上目遣いテクニック」


「まだいろんなテクあるから今度教えてあげるね♪」


「はぁ…。あの先生名字がタイガ?それとも名前?」


「なに当たり前なこと聞いてんの?名前に決まってんでしょ?名字はアオヤマよ!」


「アオヤマ?」



なんだか普通と思ってしまった。


イケメン先生となると初めからしたの名前で呼ばれるようになるんだ。







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