もしも私が―。

(眠い)

 急に眠気が襲って来て、気がついたら、またあの夢の中にいた。
 光が見える。
 私は、いつも以上に手を強く握りしめて、深呼吸をして、光の中へと、入って行った。
 
 すると、いきなり視界が開けた。
 そこには、やっぱり化物がいた。
 その前には男の子が怯えて地べたに座り込んでいた。

「あれ?あれって、同じクラスの中橋くん!何で、中橋くんが!?」

 でも、中橋くんまだ死んでない……私は手に力を込めて

(多分、助かる!ううん!助けてみせる!)

そう自分を奮い立たせた! そして

「やっやい!化物!」

 少し声が震えて、立ってられないほど怖かったけど。

「あんたなんて、こっ怖くな、ないんだからねえ!」

 大声で叫んでみた。
 そしたら化物は、こっちをふり向いて、私を睨みつけた。         

「うっ」
 
 私はちょっとビクついて、後ろへ下がってしまった。
 それでも負けずに

「なっなによ!?」

 怒鳴った。
 化物は何も言わずに、中橋くんの方を向いて
 そのままその鋭い爪を中橋くんめがけて、振り下ろした。
 
 

  ***********
 

 ふと目が覚めた。
 そして気がついた!

「中橋くんはどうなったの!?」

 即座にテレビをつける。すると、キャスターが

「それは、本当なんですね?」

 と一人の男の子に聞いていた。記者会見のようで、男の子が震えていた。

(関係無さそうだから、チャンネル変えようかな)

とリモコンを取った時だった。

「はい。僕、見ました。大きい化物がいて、僕に、僕に襲いかかって来たんです!」

「え?」

 化け物? その時、男の子が顔を上げた。

「中橋くん!」

 そう、それは確かに中橋くんだった!

「生きてたんだ」

 私は、ホッとため息をついた。
 私は助けることが出来たんだ!
 
 でも、どうやって助けたんだろう?
 ……まあ、良いか。とにかく中橋くんは助けられたんだから。
 

 でも、この油断がいけなかった。
 どうにかなるだろうという、油断をしては、いけなかったのだ……。





 
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