もしも私が―。

 観覧車を降りて、ベンチで友未とアイスを待ってる間、私は眠たい目をこすっていた。

「おまたせ!」

 友未がバニラアイスを二つ持って来た。私に一つ渡しながら

「眠いの?」と聞く。

「うん、ちょっとだけね」と答えるけど、ちょっとどころじゃなく、かなり眠い。
 化物の夢を見る時とは違う感じの眠気だ。すると、友未が

「ねえ、何かさあ」

「ん?何?」
「何か、目の前にお化け屋敷があるのって、ちょっとヤダよねっていっても三メートルくらいは離れてるけど」

「ん~確かに、アイス食べながらあの看板見るのはヤダね」
「だよね。何かゾンビらしきモノが入口に立ってるしね」

「うん」
「入ってみようか?アイス食べたら!」

「う~ん、別に入っても良いけど……大丈夫?友未、こうゆうの、キライでしょ?」
「あ~、キライってゆうか、苦手!でも、圭子だって好きじゃないでしょ?」

「まあ、好きかキライかだったらね。入る?」
「うん」

 その返事を聞くと、ゴミ箱にアイスの紙を入れ、お化け屋敷にむかった。

「あ~これ!乗り物で行くやつだ!しかも、二人乗り!」
「これなら、何とか私でも大丈夫だね!」

「って威張んなって!」と、軽く友未に突込みを入れて乗り込んだ。

「空いてるねぇ、お昼時だからかな?」
「う、うん」

 私の横で、友未はすでに震えていた。
 それを見た私は、また思わず吹き出してしまった。

「ゆ、友未。まだ発車してないのに、アハハハっはっ!」
「だって!恐いんだもん!」

 むくれた友未を尻目に、係員が笛を吹いた。

「発射します!」

 私の横で、こわばる友未を見ていると

「あれ?変だな、目がかすむ。眠い……」

 気がつくと、暗い闇の中にいた。

「これって、いつもの」

 でも、何かがいつもと違っていた。
 それは多分、闇が濃くなっていたことと、光の出口が遠ざかっていたことだと思う。

「また、誰か殺されるの?早く行かなきゃ!」



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