もしも私が―。
刑事
「キミ、柳田友未さんと一緒にいた子だよね?ちょっと一緒に来てくれるかな?」
突然話しかけられて、顔を上げた私の視界に映ったのは、涙でよく見えない若い男の人だった。
その人の手を取って車に乗ると着いた場所は、警察署だった。
「ちょっと、話を聞くだけだからね」
その人はそう言って、事情聴取の部屋へと案内した。
そこで待っていた人は、ヒゲの生えた体格の良いおじさんだった。
その人は煙草を銜えながら言った。
「ちょっと聞きたいんだが、座ってくれるかな?」
私は引かれた椅子に黙って座ると、ヒゲの生えた人も私の前に座った。
「私は、松谷とゆう者だ。お嬢さんの後ろに立っているのが私の部下で矢城くんという。キミをここまで案内したやつだ、覚えてるだろ?」
そう言いながら、後ろにいる矢城さんを指差した。
私が見ると、矢城さんは、ペコっと軽くお辞儀をした。
「話とゆうのはね、キミの友達の柳田友未さんのコトなんだ。キミは彼女のとなりにいたんだよね?」
松谷さんが私を真っ直ぐ見て言う。私は重い口を動かして
「・・ハイ」とだけ答えた。
「となりに居たのにナゼ、友未さんが居なくなったことに気づかなかったのかな?」
「乗った時、眠くなって。眠ってしまって」
その時私は迷っていた。
警察に化物のことを話した方が良いんじゃないかという思いと、でも信じてくれるわけないという思いで揺れていた。
「寝てしまった?」
松谷さんは、不審な顔で聞いた。
「ハイ。結構疲れてたみたいで、乗る前も、結構眠くって」
そう私が答えると、松谷さんと矢城さんは無言で顔を見合わせた。
私は疑われているの?
そう思った時、ドアのノック音がして、気の強そうな綺麗な女の人が入ってきた。
「警部、遊園地の係員が、その子のアリバイを証明してるみたいですよ」