もしも私が―。

「あの、刑事さん!私、化物みたんです! 実際には見てないけど、でも!」

 三人の刑事さん達は顔を見合わせた。
そして、松谷さんは座りなおすと私に聞いた。

「どうゆうことかな?」

「私、男の人の悲鳴を聞いて、廃工場に入ったんです。そこで、見たんです!その男の人が変な注射を打たれるのを!そしたら、その男の人化物になって」

 刑事達が顔を見合わせる。
そして、女刑事が、現実的な物言いをした。

「それってもしかして、新種の麻薬とか」

 それを聞いた夜城さんが頷いた。

「あ~!そうかも!」

「それで、おかしな殺人をやらかしてんのよ刃物を使って!」

「それって!化物はいないって言ってるんですか?」

 否定されるだろうことは、予想してたけど、やっぱり信じてもらえないのは悔しい。

「いや、だって実際そんなの……ねえ?」

 同意を求めるように夜城さんの方を向く。
夜城さんは、何も答えなかったけど、気まずそうに下を向いた。

「でも、じゃあ!どんな刃物使ったってゆうんですか!?お母さんだって、お姉ちゃんだって、友未だって、変な外人さんだって!三つの掻き爪の跡があったじゃないですか!?中橋くんだって、いるって、見た!て言ってるし!」
 
ムキになってそう怒鳴ると、女刑事はたじろいで、何かに気づいてはっとした。

「ちょっと待って。今、お母さん、お姉ちゃんって言ったわよね?まさかあなた、あの事件の被害者のご遺族?」

「そうです。それに、私知ってるんです。中村海くんがどうなったか」

「中村海くんって、いまだに見つかってない子!?」

「はい。あの子はエリスさんの前に化物によって、殺されていたんです!」

「まさか……」

 女刑事は二の句が告げないようで、そこを松谷さんがわって入った。

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