もしも私が―。
「でも、キミはどうしてそんのことが分るんだ?」
松谷さんが不審そうに、そしてどこか好奇心のような目をして、そう聞いてきた。
「それは……夢を、見たんです」
その問いを聞いた女刑事は鬼の首を取ったかのような勢いで驚いてみせた。
「ゆめぇ!?」
(絶対バカにしてる)
そう思ったけど、私は負けじと言ってみせた。
「そうです。私、あの光景を見てから、化物が出る日の夢を見るんです。初めは死んでしまった後しか見れなかったんです。エリスさんの時はまだ生きていて、でも、海くんは、死んでいました。でも、エリスさんとあの化物……何か知り合いっぽくって」
「知り合い、ですか?」
「はい。エリスさんが化物と話をしていて、何か、自由とゆう名のブツを……とか何とかって」
私がそこまで言うと、松谷さんは急に声を荒げた。
「まさか!」
「松谷警部?」
女刑事が怪訝に聞くと、松谷さんは彼女の名を呼んだ。
「まさか、もしかして……福崗くん!」
「ハイ!?」
「これはやはり、麻薬かも知れないぞ!」
「ちょっ!それってやっぱり、化け物いるって信じてくれないんですか!?」
そう怒鳴る私の顔に、松谷さんは掌を近づけると制止した。
「ちょっと聞きなさい!」
「エリスとその化物は関わりがあったとしよう。その化物は工場で見た男だと思って良いだろう。男は麻薬づけになり、人を襲った。エリスは、奴の仲間だったんだ!エリスを調べれば、ルートが解るかも知れんぞ!」
「それじゃあ、化物のことは、やっぱり信じてくれないんですね」
「いや、そんなことは無いぞ。キミは麻薬づけになった男を見て、化物だと思ってしまったんじゃないかな。キミには予知夢のような力があるんじゃないかな?」
「予知夢ですかあ?」
福崗さんが呆れたように言う。
「そうだ、そして夢では親を殺した恐ろしい化物として出て来ているということじゃないか?」
「そんな」
でも、やっぱりそうなのかも……。
前もそんな事考えた事あったじゃない。
実際化物なんて……私はきっと怖くて、恐ろしくて、憎くて、そう見えてしまったのかも知れない。