もしも私が―。
確か、この辺にヤクザみたいな人達がいて、ここに、白衣の人……徐々に思い出して行く。
ああ、ここが、あのお兄さんが座らされていた場所だ。椅子はなくなっているけど確かにそうだ。
「ん?」
ふと、足の下のシミに気がついた。
「何これ……!」
そのシミは不気味なほどくっきりと、赤黒く床にへばりつくようにして残っていた。
そして何より不気味だったのは、そのシミの形が、人の形のように見えたからだ。
私は気持ちが悪くなり、すぐに工場を出た。
「何だったのあれ?」
するとすぐに、警察が来て、立ち入り禁止にされ、松谷さんと夜城さんを連れて行った。
私はそれを見届けた後、家路についた。
「福崗さん、助かったかな?明日、病院聞いて行ってみよう」
そんな事を考えながら歩いていた時、後ろから、名を呼ばれて振り向いた。
「立花圭子さん!」
「え?」
そこにいたのは、サングラスに黒いスーツ姿の若い男の人だった。しかも、三人もいた。
「立花圭子さんですね?」
「そうですけど?」
(何か怪しい人達……関わらない方が良いかも)
そう思った時、髪の長い人が思いもよらない言葉を言い放った。
「少々、化物のことで問題が起きまして」
「化物!?」
(こいつなんで化物の事知ってるの!?っていうか……化物って、私の夢でだけのデフォルメじゃないの?……そういえば、福崗さんも化物が本当にいたって……)
「あの……」
「立花圭子さん、我々と来ていただけますか?」
「え?」
「今、世間を騒がせている化物を処分しなくてはいけないので」
「……だからって、何で私が?」
「あなたが必要だからです」
「え?」