もしも私が―。
 
 三人の中で一番背の大きい人が言った。180cm以上は確実にありそうだ。
 今まで喋っていた冷淡な男とは、正反対な感じの人……。

「よく見てみな。親父さん息してんだろ?」

「え?」

 慌てて父の顔に近づけると、静かな呼吸が顔にかかった。

 ――生きてる!
 ああ、良かった!!

「背中の傷はそう深くはないぜ。気絶してるだけだな」

「あはははは! 早とちりすぎー! それにぬれぎぬを着せられちゃうのは嫌だなァ」

 今度は三人の中で一番小さい、金髪の男が笑いながら言った。
 お父さんが生きてたのは嬉しいけど……こいつら、絶対あやしい。
 何なの? こいつら……もしかして……。

「あんた達、麻薬かなんかやって狂っちゃったお兄さんを使ってあんた達が殺人させてんでしょ!?」

「何の事です?」

 核心をついたと思ったけど、男には響かなかったみたいで、三人ともハテナマークが浮かんでいるようだった。
 すると突然金髪の男がお腹を抱えて笑い出した。

「あはははは!キミの頭の中ではそうなってたんだね!?ダメだ、笑いが止まんない……!」

「ど、どういう意味!?」

 私がむきになって言うと

「すみません。靱!」

 そう言って金髪の人を睨み付けた。

「はァい」

「しかし、あなたもおかしな事をおっしゃる。あの廃工場で、あなたは見たではありませんか」

「え?」

「あの被験者、川畑充が……化物になる様を」

「おい!」

 冷淡な男の肩を背の高い男がひっぱった。
 冷淡な男の言葉を止めたように見えた。

「まあ、あれだ、嬢ちゃんは何も覚えてねぇみてぇだし、良いんじゃないか幟呉?」

「そうはいきません。それは我々の決めることではないでしょう。クライアントが決めることです。同行していただけないのなら、殺します」

「!」

 殺す? 殺すって言った?

 何、あいつ。

 私は言い知れぬ不安に襲われた。
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