もしも私が―。

「冷てぇやつ」

「何か言いましたか永璃?」

 永璃という背の大きな男が呟いた声に、幟呉と呼ばれた冷淡な男はけんのある声で返した。

「いいえ~何もぉ」

 沈黙が流れた。
 それを断ち切ったのは

「とりあえず、立花圭子さん。我々と同行していただけますか? 」

 幟呉だった。
 そして、付け足すようにして言った。

「同行していただければ、とりあえずは命の保証はいたしましょう」
 
 本気だ。
 私は直感した。こいつは、同行しなければ、本気で私を殺すんだ。
 でも、どうして?
 
 もしかして、私が夢で事件を見る事をこいつらは知ってて、それで、邪魔だから私を連れてってどうにかするつもりなんじゃ?
 だから、連れて行けなかったらここで口封じするんだ。
 冗談じゃないよそんなの!

「ねえねえ、その子さァ、混乱してんじゃない?」

 金髪の靱と呼ばれていた男がにこりと笑いながら幟呉に言った。

「冥土の土産に本当の事教えてあげたらァ?」

 靱の言葉に、幟呉は私をじっと見つめた。
 ……見ないで欲しい。怖い。

「……そうですね。そのほうが良いでしょう」

「おい!」

 制止しようとする永璃を手で止めた。

「立花圭子さんも身構えなくてけっこうですよ」

これが身構えずにいられるか! 
 人を殺すとか言ってたやつが何言ってんのよ!っておもったけど、さすがに言わなかった。
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