もしも私が―。
「あなたは何か勘違いしてるようですが、あなたが言っている化け物はあなたが思っている方ではありません」
「え?」
「おい!」
「良いじゃん言っちゃえば、何で永璃は止めようとするかなァ?」
「靱!」
永璃に怒鳴られて、靱は面白くなさそうに口を尖らせた。
二人の様子を冷静に見ながら、幟呉は
「続けますね」
と言って私に向き直る。
「あなたが化け物、0P31(ゼロピーサンイチ)だと思っている人物は、工場跡地での被験体、川畑充25歳・フリーターの事ですね?」
「……そんなに詳しくは知らないわよ」
「まあ。そーだろうねぇ」
靱が頭に手を組みながら言った。
「そのお兄さんじゃないの?私の目の前で化け物になったんだよ?それに……0p31ってなに?」
そう言うと靱と永璃が顔を見合わせて、幟呉を見た。
「川畑充さんは、U・H*@01に適合されませんでした」
「ちょっと待って、U……何!?」
「U・H*@01(ユーエイチアルファーゼロワン)だよ」
靱が答え
「Unfnished・Heaven」
ぼそっと永璃が呟いた。
「薬ですよ。川畑さんや、あなたにした……ね」
「私!?」
「ええ。化け物は、0P31は、川畑さんではなく、あなたです」
「……ちょっと、何言ってるの?冗談――」
「冗談ではありません。何なら証拠もありますよ」
淡々と、無表情に語る幟呉を前に、私はどんどん不安になっていった……何でだろう?これ以上聞きたくない……冗談でしょう?
「立花圭子さん、あなたのその、頬についている傷はどうされたのですか?」
「え?」