同期が急に変わったら…。
今日は将生が出張。
あの訳のわからないプレイから
解放されている。
最近あいつは何を考えてるのよ。
今日の朝のオフィスには、
将生の『おはよう』はない。
……。
……。
仕事、仕事。
『俊介、はい、これ。』
昨日ガッツリもらった書類を
朝イチで渡した。
『出来てます?』
『出来てます。』
『さすがだなぁ』
『さすがでしょ?』
『ハハっ。』
今日、早めに欲しいと言われたら、
そりゃ、朝イチでしょ?
昨日、残業ハンパなかったんだよね。
『桐谷さん、言いにくいんすけど。』
俊介の
申し訳なさそうな顔を見ながら、
手元に視線を落とすと。
『これ、頼めませんか?』
こらこら、またかい。
書類の束、どんだけあるんだよ。
まあね、俊介の補佐だから、
やりますよ。
『頼まれますよ。いつまで?』
『帰りまでで、充分です。』
『了解。』
俊介が苦笑いするから、
大丈夫って意味を込めて
ニカッと笑ってみせた。
『桐谷さんが、
補佐で良かったですよ。』
『あら、光栄ね。ありがと。』
『課長が、
桐谷さんなら間違いないって
僕の補佐につけてくれたんです。』
『そうなの?』
『はい。ほんと助かってます。』
それはそれはどうも。
ただ、
書類仕上げてるだけなんだけど。
まあ、悪い気はしないね。
『じゃあ、これも頑張るわね。』
受けとった
書類の束を軽く上げて
『帰りまでね。』
と笑って、デスクに置いた。
大丈夫よ、帰りまでに仕上げるから。
『いずみ、私、2人目できちゃった。』
このおめでたい報告を
社食で私にしてるのは、
同期の恵梨香。
もちろん、将生とも同期。
『ほんとに?おめでとう!何ヶ月?』
『まだ2ヶ月。』
『予定日はいつなの?』
『来年の夏。』
『そっかあ。いいなあ。』
恵梨香は、
同期の中でも一番に結婚した。
旦那は、これまた同期の隆也。
で、将生の親友。
『つわりが始まる前に、
また4人で食事に行かない?』
『つわりないの?』
『今のところはね。』
『じゃあ、行きたい。』
恵梨香夫婦に子供が出来る前までは
よく4人で飲みに行ってた。
4人で終電がなくなっても
ずっと話してた。
久しぶりで、すっごい楽しみだよー!
『将生にも言っといて?』
『あーうん。
でもあいつ、今、出張だから。』
『そうなんだ。』
『戻ったら言っとくよ。』
『電話すれば?
週末の予定きいといてよ。』
『え〜。隆也に聞いてもらってよ。』
『なんでよ?』
なんでよって。
……。
『今、いるなら伝えるけど、
会社にいないし。
電話なら、隆也がすればいいじゃん。』
『ケチか。
あんたがしといて!ケチ。』
『は?ケチ?意味わかんない。
もーいいよ、わかった。電話しとく。』
まあ、いっか。
どうせ電話するなら、
用件があるほうがいいし。
夜、寝る前。
『もしもし、将生?』
『おう。』
『お疲れ様。』
『おう、お疲れ。』
『電話、大丈夫?』
『ああ。』
電話だと、
低い声が更に低く響いてる。
ちょっといつもと違う感じ。
耳元から聞こえる将生の声。
電話で話す時って、
その違う声のせいか、
男を感じちゃうんだよね。
変かな?
『ちゃんと電話かけてきたな。』
ほら〜、
こうなると思ったんだよね。
電話しろって言われて、
ホイホイしてるみたいじゃん。
『お生憎様。
伝言があったから、電話したの。』
『伝言?』
『うん。
恵梨香がね、
また4人で食事に行こうって。』
『へぇ、久しぶりだな。』
『だよね?私、もう楽しみ。』
『ハハっ。お前ら仲良いもんな。』
『将生だって隆也と仲良いじゃん。』
社内でも人気の
イケメンコンビなのよね。
2人でいたら、
さすがに目を引く将生と隆也。
『じゃあ、酒の美味い店行くか?』
『あー、恵梨香飲めないよ。
2人目だって。』
『マジか?隆也やるなあ。』
『ほんと、羨ましいよね。』
『なんだ、いずみ。子供欲しいのか?』
『まあ、人並みにはね。
その前に、相手だけどさ。』
ヤバイ。
なんとな〜く、イヤな予感がする。
この話の流れ、大丈夫かな?
『相手?俺がいるだろ?』
そうくるか。
ほんと、なんなんだ。
イヤな予感、的中だよ。
はあ。
『あんたは、飲みに行く相手でしょ?
そうじゃなくて……。』
『じゃあ、そうじゃない方の相手も。
それも俺がいるだろ?』
出た出た。
これこれ、厄介な豹変。
電話でも、ご健在でいらっしゃる。
あの訳のわからないプレイから
解放されている。
最近あいつは何を考えてるのよ。
今日の朝のオフィスには、
将生の『おはよう』はない。
……。
……。
仕事、仕事。
『俊介、はい、これ。』
昨日ガッツリもらった書類を
朝イチで渡した。
『出来てます?』
『出来てます。』
『さすがだなぁ』
『さすがでしょ?』
『ハハっ。』
今日、早めに欲しいと言われたら、
そりゃ、朝イチでしょ?
昨日、残業ハンパなかったんだよね。
『桐谷さん、言いにくいんすけど。』
俊介の
申し訳なさそうな顔を見ながら、
手元に視線を落とすと。
『これ、頼めませんか?』
こらこら、またかい。
書類の束、どんだけあるんだよ。
まあね、俊介の補佐だから、
やりますよ。
『頼まれますよ。いつまで?』
『帰りまでで、充分です。』
『了解。』
俊介が苦笑いするから、
大丈夫って意味を込めて
ニカッと笑ってみせた。
『桐谷さんが、
補佐で良かったですよ。』
『あら、光栄ね。ありがと。』
『課長が、
桐谷さんなら間違いないって
僕の補佐につけてくれたんです。』
『そうなの?』
『はい。ほんと助かってます。』
それはそれはどうも。
ただ、
書類仕上げてるだけなんだけど。
まあ、悪い気はしないね。
『じゃあ、これも頑張るわね。』
受けとった
書類の束を軽く上げて
『帰りまでね。』
と笑って、デスクに置いた。
大丈夫よ、帰りまでに仕上げるから。
『いずみ、私、2人目できちゃった。』
このおめでたい報告を
社食で私にしてるのは、
同期の恵梨香。
もちろん、将生とも同期。
『ほんとに?おめでとう!何ヶ月?』
『まだ2ヶ月。』
『予定日はいつなの?』
『来年の夏。』
『そっかあ。いいなあ。』
恵梨香は、
同期の中でも一番に結婚した。
旦那は、これまた同期の隆也。
で、将生の親友。
『つわりが始まる前に、
また4人で食事に行かない?』
『つわりないの?』
『今のところはね。』
『じゃあ、行きたい。』
恵梨香夫婦に子供が出来る前までは
よく4人で飲みに行ってた。
4人で終電がなくなっても
ずっと話してた。
久しぶりで、すっごい楽しみだよー!
『将生にも言っといて?』
『あーうん。
でもあいつ、今、出張だから。』
『そうなんだ。』
『戻ったら言っとくよ。』
『電話すれば?
週末の予定きいといてよ。』
『え〜。隆也に聞いてもらってよ。』
『なんでよ?』
なんでよって。
……。
『今、いるなら伝えるけど、
会社にいないし。
電話なら、隆也がすればいいじゃん。』
『ケチか。
あんたがしといて!ケチ。』
『は?ケチ?意味わかんない。
もーいいよ、わかった。電話しとく。』
まあ、いっか。
どうせ電話するなら、
用件があるほうがいいし。
夜、寝る前。
『もしもし、将生?』
『おう。』
『お疲れ様。』
『おう、お疲れ。』
『電話、大丈夫?』
『ああ。』
電話だと、
低い声が更に低く響いてる。
ちょっといつもと違う感じ。
耳元から聞こえる将生の声。
電話で話す時って、
その違う声のせいか、
男を感じちゃうんだよね。
変かな?
『ちゃんと電話かけてきたな。』
ほら〜、
こうなると思ったんだよね。
電話しろって言われて、
ホイホイしてるみたいじゃん。
『お生憎様。
伝言があったから、電話したの。』
『伝言?』
『うん。
恵梨香がね、
また4人で食事に行こうって。』
『へぇ、久しぶりだな。』
『だよね?私、もう楽しみ。』
『ハハっ。お前ら仲良いもんな。』
『将生だって隆也と仲良いじゃん。』
社内でも人気の
イケメンコンビなのよね。
2人でいたら、
さすがに目を引く将生と隆也。
『じゃあ、酒の美味い店行くか?』
『あー、恵梨香飲めないよ。
2人目だって。』
『マジか?隆也やるなあ。』
『ほんと、羨ましいよね。』
『なんだ、いずみ。子供欲しいのか?』
『まあ、人並みにはね。
その前に、相手だけどさ。』
ヤバイ。
なんとな〜く、イヤな予感がする。
この話の流れ、大丈夫かな?
『相手?俺がいるだろ?』
そうくるか。
ほんと、なんなんだ。
イヤな予感、的中だよ。
はあ。
『あんたは、飲みに行く相手でしょ?
そうじゃなくて……。』
『じゃあ、そうじゃない方の相手も。
それも俺がいるだろ?』
出た出た。
これこれ、厄介な豹変。
電話でも、ご健在でいらっしゃる。