同期が急に変わったら…。
朝イチに呼ばれて、

…なんなんだ、朝から。





若干厚めのファイルを

課長から手渡され、




『今日、午後から東亜行くから。
桐谷も準備しとけよ。』

『東亜ですか?』

『ああ。』



…なんで、私なんだ?



あそこの専務、苦手なのよ。

最悪。





不満を隠し、顔は笑顔で、



『わかりました。』




デスクに戻ると、

即効で椅子を滑らせて近づく隣りの男。

後輩の宮野俊介 25歳。




ちなみに私は、

営業と俊介の補佐を兼務している。

というか、

ほぼ俊介の補佐だけど。






俊介が小声で私に話しかける。


『桐谷さん、東亜って
担当、違いますよね?』


『まあね。』


『気を付けて下さいね、あの専務。』


『ありがと。
今更、恥ずかしいとか、ないけどね。』


『なわけないでしょ?』


『ううん、大丈夫よ。』




東亜の専務は、

今時、珍しいセクハラオヤジ。




数年前なら、

顔を赤くして恥らってもいたけど。




今年30歳にもなる私には、

恥らう事が、恥ずかしい。






そんな、大人になりました。





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