同期が急に変わったら…。

仕事の話を話したり聞いたり。

少しだけ飲みながらの食事。




あまり、長々と話さない将生だけど

不在の間の会社の事や

出張先での事は

自分から聞いたり話したりする。





営業1課の課長らしい。





時には沈黙の時間もあるけどね。

それはそれで、全然いい。







食事を終えて、

私が片付けをしてる間、

将生は、ノートパソコンを開いて

カタカタやってる。





仕事、たくさん残ってるんだよね。

ほんと忙しい男よね。





疲れてるだろうから、

お風呂を沸かして、

お気に入りの浴用剤を入れた。

いい香りの。





『ねえ、お風呂いいよ。』

『ああ。じゃあ、先にいいか？』

『どうぞ。』





将生は、スーツケースを広げて、

着替えを出してるみたい。

替えのスーツも出して、

ハンガーに掛けて、

寝室に持って行った。





完璧、それ明日着るスーツでしょ？

泊まる気マンマンね。




『着替えあるの？』

『まあな。』





予備の着替え、持ってたのかな？

几帳面ねえ。




『初めから
いずみんちに泊まるつもりだったし。』




几帳面、撤回。

計画的犯行。確信犯。





『じゃあ、明日のワイシャツは？』

『あるに決まってんだろ。』




ドヤ顔やめなさい。

ほんとに、

初めからそのつもりだったらしい。





『そうなの？用意周到だね。』


『ふんっ』


『洗濯回す？』


『いいよ、明日するから。』


『洗濯機に入れとけば？
朝には乾いてるから。』


『じゃあ、その洗濯物、
いずみんちにそのまま置いてくかな。
どーせ、またいるし。』


『厚かましい。』


『どうも。』





そう言って、優しく笑った。





『じゃあ、回すかな。』

『どうぞ。』




洗濯物と着替えを持って、

将生は浴室へ行った。





こんなやり取りも、

前なら普通にやれたのに、

今は、必死だ。




いつも通りに振る舞うのが。






でもやっぱり

将生がうちにいるのが、

しっくりきてしまう。





弟のスウェットを手にしながら、

ふふっと笑いが零れた。




脱衣室にそのスウェットを置いて、

すりガラス越しに

お風呂にいる将生に声をかけた。




『将生〜？』

『あ〜？』

『スウェットここに置いとくよ。
ごゆっくり〜。』

『おー、サンキュー。
いずみも入るか〜？』




いやいや、それはない！

これは、明らかに冗談だと理解した。

冗談には、冗談で返す。





だから。




『そう？いいの〜？入るよ〜？』



久々にノリを合わせたら。



『おぅ、早く来い。』

『っ！入るか！』

『いずみが言ったんだろ？』






本気だった。

そうだった。

最近の将生はこうだった。