同期が急に変わったら…。
『お疲れ様でした。』

『……。』




カチン。

とグラスの音をさせて乾杯をした。





相変わらず、

お疲れ、とも言わずに

すぐに飲み始める無愛想なヤツ。






『ねえ、東亜はいけそうだね。』

『当たり前だろ?』




やっぱり自信家。

本当に出来るヤツだから

嫌み臭くないけどさ。






将生は、確実な仕事をする。

それは、一緒に仕事をしてきて、

嫌なほどわかってる。






それが尊敬できるし、

見習いたいとも思う。





営業で話す将生は、

話術に長けている。






プライベートとなると、

余計な事はあまり話さない。




でも、

私には、それなりには話してくれる。

長い付き合いだし、

お互いに気を使わない相手だから。








こうして飲んでても、

ベラベラ喋るわけでもなく、

私の話を聞いては、

相槌を打つ。

たまには、淡々と話をしたりもする。






まあね、

やけにテンション高い男よりは、

落ち着いて飲めるからいいけど。







『いずみ、今日悪かったな。』


『何が?』


『専務。また帰りに触られてたな。』


『あー。平気よ、あんなの。』


『……。』


『何よ?気にしてくれてるわけ?』




将生は、一瞬考えるように、

首を僅かに傾けた。



私をまっすぐに見て、

頷きながら、


『ああ。まあな。』


『ふふっ。
あのさあ。
もうキャアキャア言う年齢でも
ないからさ。』


『……。』


『次は、
こっちからお尻差し出そうか?』


『ハハっ。アホか。』






気にするなら

俊介を連れて行ってくれたらいいのに。

まあ、いいけど。

営業に行くのは好きだからさ。






『いずみが行くと、場が和むんだよ。』


『何?』




明日は大雪かしら?

また珍しい事を言い始めたわね。

こんな事、言われた事ないよ?






『お前、嫌な顔しないだろ?
笑顔もいいし。

話も自然な感じで話すから、
場が和む。』





そんな風に思ってくれてたの?

意外よ、意外。

嬉しいけどさ。





『年の功でしょ?』


『……。』





そんな話をしながら、

お酒も食事も進んでいく。





将生も私もお酒には弱くないから、

酔い潰れる事は、ほとんどない。




いつも楽しく飲める。

この時間は、私の癒し。

奢りだしね〜。







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