俺がイイんだろ?

-ひかりside-


「てんは俺にこう提案したんだ。
ひかりちゃんがほんとにお前のことが好きだったら、東京に行ったお前を絶対探して追いかける。
だから試してみたらどうだ?ってな」


そうだったんだ…
私、試されてたんだね。

不思議と嫌な感じはしなかった。
むしろ嬉しいと感じる。


「ほんとにいろいろゴメンな…
お前に隠し事してた上に騙すなんてよ…」

「……」


正直、たくさんの寂しさと怒りは京平にさっき会うまであった。
そして京平に会った瞬間、きっと頬を叩くだろう…そんなことまで考えていたけど…
今まで京平がどんな思いだったのかを聞いた瞬間、そんな気持ちはどこかへ消えた。


「京平…」

「ん…?」


一回大きく深呼吸する。


「…私は、ほんとに京平が大好きです」


初めて京平に告白した。


「…!?」


京平はすごく驚いた顔をしていた。
無理もない。


「だから…私と付き合…」


最後まで言う前に、京平に手で口をおさえられた。


「言うな…
お前に越されちまったら、男として最悪だよ」


弱く笑いながら口から手を離す京平。


「俺もお前が好きだ…
ずっと二年間、気持ちは変わらなかった。
だから…」


ゴクッ

つい唾を飲み込んだ。

緊張しすぎて心臓がどうにかなりそう。


「俺と…」

「……」

「つっ…」


ガチャ


「「!?」」


ドアがいきなり開いた。
二人でビックリする。
部屋に入って来た人は…


「何やってんだよ!
アタシのひかりに!」


ゲシッ


「痛ぇ!
何すんだよ美嘉!」

「美嘉!?」


大きいカバンを持った美嘉だった。
美嘉は京平を足でグリグリと踏み潰している。


「よっひかり!」

「よっじゃないよ!」


なんで美嘉がここに!?


「あ、お取り込み中悪かったんだけどさー
ここに住むの、アタシだから」

「えっ!?」


京平じゃないの!?


「おい美嘉…いい加減足どけろよ!」

「あ、ゴメン京平。
いたの?」

「お前…!」

「け、喧嘩はよして!」


なんとか二人の喧嘩を止めて本題に入る。


「あー、あの電話はウソ。
ちょっとアンタをからかっただけ!」

「ひどーい!」


膨れっ面になる私を笑う美嘉。

もう…美嘉ったら。


「まぁ、アタシも上京するつもりだったしさ。
一緒にひかりと暮らせるなんて嬉しいよ!
家賃も安いしね♪」

「確かに!」


二人で笑い合う。
つられたのか、京平も笑っていた。


「京平はさ、ほら!
超有名なバン…んんっ!?」


美嘉の言葉を京平は慌てて塞ぐ。
どことなく様子がおかしかった。

超有名…?
どういうことだろ…


「ここらじゃ超有名なイケメンなんだよ俺!
ははは!」

「そ、そうなんだ…」

「そ、そうなんだよ実はさ!
京平確かにかっこいいしねー!」


なんか二人の様子が変だなぁ…
あんまり聞かない方がいいかも。




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