俺がイイんだろ?
急接遠。
-ひかりside-
東京に来て1週間のある日の朝。
ピーンポーン
「んん…」
チャイムの音が鳴る。
ピーンポーン
「美嘉ぁ…お願い出てー…」
ピーンポーン
チャイムが頭に鳴り響く。
美嘉に呼びかけても返事はない。
今何時だろ…
チャイムを聞きながら、うっすら目を開けて時計を見ると…
「じゅっ、11時!?」
慌てて飛び起きた。
ね、寝過ごした!?
あ!
2時からバイトの面接だ!
あたふたしている間にもチャイムは鳴り続く。
「もう!
こんな時間に誰!?
美嘉もいないみたいだし!」
髪がボサボサ、そして露出が高い部屋着のまま玄関へ向かう。
「どちら様ですかー…」
半分寝たままドアを開けると…
「ひっ、ひかり!?」
「ほえ…?」
閉じかけていた目をちゃんと開けると、目の前にはここに居てはいけない人が立っていた。
「京平!?」
「よ、よぉ…」
な、なんで京平がここに!?
てかそういえばなんでここが私の住んでるとこだって知ってるんだろ?
いろいろ考えていると、京平がまばたきもせず固まっていた。
「きょっ…京平?」
「…やべぇ。
襲いたい」
「へっ!?」
京平の視線は私の顔ではなく、確実に首から下へ行っていた。
あっ!
私なんて格好で…!//
一気に恥ずかしくなって、近くにあったバスタオルで身体を隠した。
「なーんだ、もう隠すのかよ?」
「あっ、当たり前ですっ!//」
「ふーん…」
京平は口に笑みを浮かべながら私へ近づく。
こんな表情を見たのは初めてで、怖い思いとドキドキする思いが入り交じる。
あっという間に京平に壁へ押し付けられた。
「なぁひかり…
この前の続き、聞けよ」
「京平…」
この前の続きとは、きっと二年ぶりにここで会った日のことだろう。
「その前に…京平に聞きたいことがあります」
「なんだ?
あ、ちなみに敬語なんていらねぇぞ」
「あ、うん…」
聞く意味は無いかもしれないけど、念のため…
「京平…Lily&crowのギターやってたんだね」
「…とうとう知られたか…」
「私、デビュー当時からずっと好きだったんだ…リリクロが。
京平がギターだって聞いて嬉しかった反面、複雑な気持ちになったの…」
黙って話を聞く京平。
少しの沈黙が二人を包む。
「私…プロ目指して東京に来たの」
「えっ…!?」
すごく驚いた様子の京平。
無理もないよね…
京平だけが隠し事とか嘘をついてるわけじゃない。
私だってそうなんだ。