俺がイイんだろ?


「絶対リリクロを美嘉と越えるから」

「ははっ、いいムードだっつーのに…宣誓布告されちまったよ」


京平は私の肩に顔を預けた。


「まぁ…いいんじゃないか?
その代わり、俺はお前の心を貰うよ」

「へっ…」


そう言うと、京平は優しく私にキスをした。

キ…キス!?

私はびっくりしすぎて頭が真っ白になった。


「ん…もしかしてひかり…初めてか?」

「っ!////」


初めてだなんて言えない…!
でもきっとバレバレだ…


「…そっか。
ラッキー俺」

「ば、バカ!//」


おもいっきり京平を突き飛ばす。

私、京平を好きな気持ちを封印するって決めてたのに…!
何ドキドキしてるのよ!

自分に言い聞かせても、一向に鼓動は鳴り止んでくれない。


「なぁひかり…
なんで俺がここにひかりが住むって知ってたかわかるか?」

「あ…」


突然疑問に思っていたことを京平が言って、一瞬にして我に返った。


「てんが…ひかりが18になった時、東京のこのアパートに引っ越すよう仕向けるって言ったんだ。
二年前…俺が上京する前にな」

「そう…だったんだ…」


でも、どうしてそんなこと…


「…あいつは何も言わないけど、俺にはわかる。
ひかりがすごく大事だから、俺がいなくて辛そうな顔をしてるのに耐えらんなくなったんだよ」


それってどういう…


「てんは俺に電話で言った。
ひかりのことは“妹みたいな感じで”好きだって」

「……」


確かにそんな感じはする。
私自身も天馬さんを兄のように思っていた。

それとこれと何が関係あるって言うの…?

京平が考えていることが全然わからない。


「俺その時思った。
ひかりのこと、てんは女として見てるってな」

「えっ…」


そんなわけない…
私が上京する時だって走って来てくれたけど、それは好きとは違う…
抱きしめられたことも、キスさえされたことなんてない。


「…俺は昔からてんの裏で思ってることなんてわかる。
本人に言わないだけでな」


京平さんの顔は怒りに満ちていて…
すごく怖かった。


「ひかりは…てんのことどう思ってんだ?」

「っ……」


意識してなかったと言えば嘘になる。
少し気になっていたのは事実だから。
でも京平が好き。
だけど好きという気持ちを封印するって決めた。

だから…
いいチャンスなのかもしれない。
私の辛さや苦しさなんて関係ない。
今の私は…京平が好きじゃないんだよ。

そう自分に暗示をかけた。


「天馬さんが…好き」

「俺に好きって言ったのはなんなんだ?」

「…友達として」

「……」


ひどく傷ついた顔をする京平。
そんな顔を見て、心がひどく痛む。


「てんはいい奴だよ。
俺なんかと違って嘘つかねぇし、ひかりを守ってやれる」

「……」






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