俺がイイんだろ?


どうしてそんなこと言うの…

自分から遠ざけようとしているのに辛い。
私はわがままで最低だ。


「ひかり…」

「……」


静かに私に近づく京平。


「…俺は…
ひかりが好きだ」

「…っ!」


また告白されて、不意打ちのキスをされた。


「…好きなんだよ…」


軽いキスから深いキスへ変わる。
なぜか拒めない。
逆に京平へと落ちていく気さえした。


「んんっ…」

「…はぁ、ひかり…」


口の中で舌が絡み合う。
拒まないといけないのに…受け入れてしまう。
こんなにも私は京平が好きだった。

このまま時間が止まって…
現実なんて気にならなければいいのに。

真っ白な頭の中で、その言葉だけが頭をぐるぐると回っていた。


「やべぇ…
ひかり…襲っていいか?」

「っ……」


いいよと言いたい。
でもそんなこと言ったらもう戻れない。
そんなことを考えている間にも、京平は慣れた手つきでゆっくり私の服を脱がしていく。


「やめて…京平」

「……なんでだよ…」


京平はピタッと手を止めた。


「なんでなんだよ!」

「!?」


いきなり怒って壁を殴り付けた。


「なんで…
なんでよりによっててんなんだ…」

「……」


私のついた嘘を、京平は信じていた。


「なんで俺じゃねぇんだよ…」


私は京平が好きなの!
天馬さんの好きとは違う!
愛してるの…
そう言えたらどれだけ楽か…


「…変なことして悪ぃ」


はだけた私の服を直す京平。
少しだけ京平の手が震えている気がした。


「最後に1つだけ言っとく」


最後…?


「ひかりは…絶対俺のところに来る。
そしてこれからもお前への気持ちは変わらない…」


京平…

胸がズキズキと痛む。


「お前が俺のとこに来ないなら…
来世で一緒になろうぜ」

「京平っ……」


それだけ言って、京平は出て行ってしまった。


「きょ……へ…」


力が抜けて、その場に座り込んだ。
一気に何もかも失った気分になった。


「これで…いいんだよ」


そう、これでいい。
私はリリクロを越えたい。
その夢は変えられない。

でも…

最後に京平が言った言葉がどうしても引っ掛かった。


「京平に…もう触れられないんだ…」


涙がぼろぼろ出る。


「うっ…うぅ…」


1人玄関で泣いている時だった。


ピリリリ


携帯の着信音が私の部屋から聞こえた。







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