俺がイイんだろ?

-京平side-


俺は久しぶりに来た学校の屋上で一人、購買のカレーパンを食べながら携帯をいじっていた。
今日は担任に単位の件で学校に呼ばれてしかたなく来た。

別に学校なんか来たいわけじゃねぇ…

俺は小さい頃から音楽一本で生きてきた。
中学の頃もろくに勉強もしないで、ギターばっかりいじってきた。
そのせいで孤立した俺は、高校入ってからも友達なんてできなくて…

まぁいらないからいんだけどな。
俺にはギターがありゃあいい…

そんなちょっとカッコいいことを思ってみたり。


「何やってんだ俺」


三年の単位を全部とって、その代わりに仕事して…
自分自身でも何がしたいのかわからなくなっていた。
そんな時だ。


「……でした。
今日の放送は1年B組、立花ひかりです」


俺は天使に会った。

…なんてこと言うのはちょっと性に合わねぇけど。

今までいろんなバンドに入ってきた。
だけどなかなかいいボーカルに出会わなかった。
この時、俺はもうてんと美嘉とコウがいるバンドに入ることが決まっていた。


「立花…ひかり」


美嘉の声も確かにいい。
今までのどのボーカルより歌声もルックスもいい。
だけど…


「どうしても気になる」


立花ひかり…
放送で聞いただけの声に、俺は惚れていた。
美嘉以上に。
今までにない胸の高鳴りは、俺に「立花ひかりに会え」と訴えていた。

そしてまさか…
練習するスタジオで出会うなんて思ってなかった。


「立花ひかりです!」


立花ひかりに俺は…
一目惚れしてしまった。

こいつを手に入れたい…
全部…何もかも。

こんな気持ち初めてだった。
自分で言うのもなんだが、俺はルックスはいい方だ。
だからモテてはいた。
いろんなタイプの女とも付き合った。
みんなもちろん好きだった。
だけど、何かが足りなかった。
奥の奥にある…心が掴めない。
結局みんなどこか心を許していない部分がある。
それが見え隠れしてるのが嫌で嫌で仕方ない。

でも立花ひかりは…
何かが違う。
その真っ直ぐな瞳は、一瞬にして俺の心の奥を掴んだ。

なんだこの感覚…
やべぇ、なんかおさえらんねぇよ。




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