俺がイイんだろ?

-天馬side-


「ふぅ…」


ひかりちゃんが行ってしまった駅のホームで、俺はタバコに火をつけた。


「雪降ってきたな…」


さっきより肌寒いと思ったら、雪がちらちらと降り始める。


「天馬…」

「天馬さんっ」


後ろから美嘉と幸之心に呼ばれた。
実は、ひかりちゃんの見送りには俺だけが来ていたわけじゃなかった。


「これで…いんだよね」


美嘉が肩を落としてため息をつく。


「いいんだよ、これで。
お前も東京に行くんだろ?」

「まぁね!」


すぐ笑顔に戻った美嘉を見て少し安心した。


「それにしても、寂しいなぁ
ひかりがいないとさ」

「幸之心、だったらお前が行くなって言えばよかったんじゃないか?」

「それじゃあひかりの夢を潰すことになるじゃん!」


膨れっ面になる幸之心。

もう16になったってのに、相変わらず子供だし手がかかる…


「まぁ、そう落ち込むなってのしん!」

「だからその呼び方やめてって!」


普段の二人に戻るのを見て、また安堵する。

ひかりちゃんがいなくても大丈夫だろ。

そうは思うものの、やっぱりみんなに寂しさはある。
もちろん俺にも。


「俺も…やっと進む道が見えてきたかもな」

「あ?
なんか言った?」

「いいや、なんでもねぇよ」


仲良く三人で帰り道を歩く。
相変わらず美嘉と幸之心はちょっとしたことで喧嘩しては仲直り。
日常茶飯事だからもう慣れた。


「きょう…
お前の読み、当たってるぞ」


きょうと二年前に約束したことを思い出しながら、俺はタバコを肺いっぱいに吸った。







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