幼い頃の小さな約束




次第に心地よくなる、温かさはあたしの涙も誘った。

ぽろぽろと落ちる透明な雫は、お湯の中に消えていく。



声が出ないほど、あたしは悲しかった。





ゆきにひどいことを言われたから、っていうわけじゃない。

草を投げられたからでもない。




約束が思い出せないからだ。







「なんで、覚えてっ、いないんだろっ・・・!」




あたしは自分が許せない。

ゆきが覚えてくれているのに、自分だけ忘れていることが許せない。







< 249 / 262 >

この作品をシェア

pagetop