幼い頃の小さな約束




「とりあえず、帰るよ」





亮太のその言葉で教室を出ようとしたが、考え事してて忘れるとこだった。


あたしは小走りで近寄り、手を差し出す。







「ゆき、一緒に帰ろう?」



そう言ってニカッと笑うと、ゆきは恐る恐る手を伸ばす。


あたしはその手を掴んで、立ち上がらせた。…軽い。





ゆきの戸惑ったような表情が、どんどん笑みを含んでいく。




…可愛い、素直にそう思った。









< 29 / 262 >

この作品をシェア

pagetop