代償
部屋に戻る。
「ほぅ、普通なアドレスだな。地味なお前には合うか」
地味て………。
ソファーに座って出された紅茶を飲む。
こんな男でも、紅茶は飲めるのか。
「お前、暴走族の総長みてぇな男が紅茶を飲むなんておかしいとでも思ってるんだろ」
………図形☆
「あのなぁ、暴走族の総長だろうがなんだろうが、ガキの前でウォッカの原液でも飲んでみろ。あぁこいつはバカなんだなって即決させられんだろ」
………はぁ。
って、拾われてこんな速く思ってることが分かるなんて。
おかしいぞ。
「好きで総長なんてヤってるわけじゃないんだ。勘違いするな」
………へぇ。
そうなんだ。
って、よく喋るね。
これに一瞬で慣れた私も変か。
「お前、声出せるようにれ。不憫すぎる。俺だけベラベラ喋ってバカみてぇだろ」
紅茶を一気に煽り、流し台に置いた。
………仕事は?
メールで打つ。
画面を見せる。
「あぁ、オーダーがないって言われたからな。言われないほうが嬉しいんだ」
………言われないほうが?
………何の仕事?
ま、そうなんだ。