代償
『お前、本当にいいのか。そのままで』

関節を固め、上に乗る愛鷹総長。
動けないで、

『煩い!』

そんなことを吐いて。
俺は愛鷹総長から逃れようとした。
しかし、圧倒的な強さに感服する。

『お前、バカみてぇに喧嘩、強いよな』

『………っだったら何だ!?』

弱い自分を守るため。
虚勢を張って。

『そのくせ、中身は弱い。典型的な奴』

『離せ!!』

上で笑った愛鷹総長。
ギリギリと、俺を押さえつける手に力を加える。
痛さに絶叫した。
関節が壊れる寸前まで力を加えられ。

『前橋組に来ないか?』

そんな言葉が降ってきた。
何で、

『誰がそんなとこに行くんだ!?離せ!!』

『おー、威勢のいい男ー』

楽しんでる。
愛鷹総長は。

『なら。関節ぶっ壊す』

は!?

『オレ、本気で言ったことは必ず実行するから………覚悟しろ?』

『!?やめ………』

脅した。
こんなの。
こんな奴………。

『………ゃめ………』


腱を断裂させられ。
関節は歪んで。

前橋組の総長には、敵わないことを。


痛い思いをして、実感した。



治療費は全額、愛鷹総長が出してくれた。
その後。

『今日から君は、“上城 上時”だ』
新しい名前を貰い。

前橋組に引き摺り混まれた。
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