代償
「………」
携帯を取り出し。

「………はぃ………………勘弁、してください」
眉間にシワを深く刻んで。
辛そうで。

「………3人………?」
3人………?
「………無理、です………」
お客さんの人数?
………ホストて。


「無理です………勘弁してください………」
『城時!テメェトップだろぉ!?』
「………っ無理です」
『何が無理だ!?勘弁だ!?ヤれよ!』

電話の向こうの怒号。
『酒飲んで枕だけだろ!?』
「………っ」
『ノルマも達してねぇのに無理だぁ?』
「………」
『休んだらクビだ。来て客の相手しろ』
「………………………はぃ」

嫌そうに、上時は立ち上がる。
なんて電話なの!?
拷問じゃないの!?

こんな………弱った上時に………まだ仕事をさせるの!?
何を望んで!!
得ばかり考えて………!!

汚れたワイシャツを適当に脱ぎ捨てる。
痩せた身体。
骨と………皮しかない。
「………ころすき………か?」
………殺す気。
………だと、思う。


………お風呂場までの廊下で、上時は壁に背を預けた。
もう、歩きたくない。
行きたくない。
そう、聞こえる気がした。

「………い………ってぇ………」
胃の辺りを押さえて蹲る。
………病気?
なの?

「………行きたくない………」
吐き出すように言った。
………行きたくない。

「………い、かないで」
行かないで。
ここにいて。

上時の隣に座って、上時を抱き締めた。
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