代償
背中に、床の冷たく、固い感触を捉える。

もう、逃げられない。
もう、逃げ場はない。
もう、後戻りなんて。

顔の横に、上時が手を突いた。
薄暗い中。
上時が浮かぶ。

まさか。
こんな形で。
上時に。
望んでないのに。
サレルノ?

私。

「泣き喚いても、止めてやらねぇよ」
うん。
「1回じゃ、済まさないからな」
………え?

見上げる。

………あ。
張っていた肘を折った。
顔の横に、肘が突かれる。
一気に距離が縮まる。

「………後悔なんて、しない、から」
「されちゃ、困る」



私。
コドモだった。
気付かなかった。
気付くはず………なかった。

何が起こるか。
何が引き金になったのか。

見極められなかった。



重なる、肌。
重なる、身体。
重なる、唇。
重なる、吐息。

あり得ない、痛さ。
あり得ない、激しさ。
あり得ない、気持ちよさ。

ガクガクと、身体を何度も揺らされる。
上時の熱と、床の冷たさ。
反比例して、変な感じ。

女の子の………憧れる。
『ハジメテ』とは。
程遠くて。

でも。
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