代償
「………」
静かに、息をする音を聞く。
沈黙は、そんなに重くない。
前は。
重くて仕方なかったのに。
不思議。
「………日本食」
「………え?」
「日本食、食いたい」
私を抱き締め、頭に顎を乗せたまま、言う。
「作れるか」
「材料、ないでしょ?」
「買ってくる」
「作れる環境じゃないでしょ?」
「だったな」
息を深く吐いた。
「少しは片付けたら?」
「片付けられないんだ。ここにも殆ど帰れないしな」
「昨日は?」
「職場放棄」
「放棄って………」
「オールも4日目に差し掛かって死ねる状態だったから」
オールが4日も?
………あり得ない。
「本当に。死ねるなって。目は極度疲労で見えなくなったしな」
「………そう、なんだ」
「飯もなし。ひたすらに酒を飲んで。何であんなに飲めたのか不思議だ」
「身体に悪いって、分かってる?」
「死ねるほど知った」
「分かってなかったの?」
「適当に受け流してたからな。忠告も」
………自分で、自分の首を絞めてるじゃない。
それって。
「何で、ホストなんてするの?」
「さぁな」
「目的は?」
「それもない」
………何なの?
不思議な人。
「………辛いけどな、ホストは」
「………」
「でも、するしかないんだ」
「………?」
語尾が掠れる。
不思議で、見上げる。
上時は、遠くに投げた携帯を見つめている。
静かに、息をする音を聞く。
沈黙は、そんなに重くない。
前は。
重くて仕方なかったのに。
不思議。
「………日本食」
「………え?」
「日本食、食いたい」
私を抱き締め、頭に顎を乗せたまま、言う。
「作れるか」
「材料、ないでしょ?」
「買ってくる」
「作れる環境じゃないでしょ?」
「だったな」
息を深く吐いた。
「少しは片付けたら?」
「片付けられないんだ。ここにも殆ど帰れないしな」
「昨日は?」
「職場放棄」
「放棄って………」
「オールも4日目に差し掛かって死ねる状態だったから」
オールが4日も?
………あり得ない。
「本当に。死ねるなって。目は極度疲労で見えなくなったしな」
「………そう、なんだ」
「飯もなし。ひたすらに酒を飲んで。何であんなに飲めたのか不思議だ」
「身体に悪いって、分かってる?」
「死ねるほど知った」
「分かってなかったの?」
「適当に受け流してたからな。忠告も」
………自分で、自分の首を絞めてるじゃない。
それって。
「何で、ホストなんてするの?」
「さぁな」
「目的は?」
「それもない」
………何なの?
不思議な人。
「………辛いけどな、ホストは」
「………」
「でも、するしかないんだ」
「………?」
語尾が掠れる。
不思議で、見上げる。
上時は、遠くに投げた携帯を見つめている。