代償
「愛鷹総長が、くれた仕事だった」
「え?」
「愛鷹総長も、顔がよくて。ホストだったんだ。それで、勧められて」
愛鷹総長。
上時を前橋組にいれた?
「………だから、やめるわけにはいかない」
「そうなんだ………」
「金が偉い勢いで増えて。元々の女嫌いで、ストレスで痩せて」
「………まさに、今?」
「昔から」


『いい面構えしてるな。ホスト、やらねぇか?』

「一瞬、死ねるなって思った。ホストなんて」
「………」
「元々、酒には強かったし、酒系統オールオッケーだった」
「飲みすぎ」
「大金叩かれて、飲まないバカはいねぇよ」

上時の顔に手を伸ばす。
右頬の大きな傷。
それをなぞる。

「………何で、傷なんて」
「決闘、だったな」
「決闘?」
「『総長』の座を奪うための」

そんなことしたの?
凄まじいね。
本当。

暴走族の世界って。
一般人の私には、到底理解出来ない。
複雑な関係。

その中に、上時やキャーラ。
マスターにユートさんがいる。
どんな気分なんだろ。

いつも楽しそうに笑って。
でも。
腹の底は?
腹を割って話したら?

違う答えが出てきたら?



上時は、裏切られていることになるの?
それを。
もし、そうならば。

知ってるの?


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