代償
身体の上を、手が這う。

「お願い………やめっ………」
「お前があんまり可愛い顔してるから、襲いたくなるの、仕方ねぇだろ」
「理不尽な………!」
「黙れ」
「さっさと………宣戦布告して帰ってよ………!」
「ついでに拐って行くか」
何でこう………。
ああ言えば、こう言う。
「………勘弁………してよ………」
「やだね」
下へと降りる手を阻止する。

「………お預け」
「何の」


『総長が動いてない』
『負けてもいいような』

負けるな。
動け。

「勝ったら、してもいい」
「決闘か」
「そうだよ」
「ひでぇ奴」
身体から手を放し、私を引き起こした。
崩れた服を正す。
「それに、風邪、うつしたくないし」
「バカかお前。俺が風邪引くと思うか」
「思うよ」
「そんな柔じゃない」

立ち上がった。
「さぁーてと。潰すか」
「………あまり、酷くしないであげてよ」
「保障しねぇな、それは」
ドアを堂々と開け。


「ぅ…………わああああ!!!!」
絶叫が聞こえてきた。
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