代償
「上城、お前んとこの小娘、随分可愛いようだな」
「ああ、あいつか」
文香か?
小娘って。
「前橋が潰れたら、下時が責任取って可愛がってやるぞ」
「有難いことだ。でも世話にはならねぇよ。あいつは俺の女だ。簡単に手ぇ出せる奴じゃねぇぞ」
「『俺の女』ねぇ。独占欲の塊が」
麻賀ぁー、潰されてぇのかー。
なんて、腹の底でだらしなく言ってみる。
………はは、多重人格者が。
「奴はお前じゃ満足しねぇよ」
「ホストの上城に敵うと思うか?」
「よく知ってるなー、俺がホストってこと」
どこだ。
その情報提供者は。
殺すぞ。

「でもなぁ」
………。
俺の前に立つ。
ああ。
何か。
族長って奴だな。
威厳もクソもない。
「上城、綺麗な顔しているな」
「は?何を言い出すセクハラ族長」
「イケメン総長の顔、真っ赤に染めてやりてぇなって」
「やれるもんなら、やってみろよ」
うわー(棒読み)。
キモいぞ、こいつ。
殺すぞ。
「総長さんよぉ」
ウザくないか、こいつ。

「楽しみだなあ、本当」

笑った。
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