代償
「………で、東さん、用事とは?」
『うーん、用事ってほどでもないんだけど』
「………はい?」
『城時さんって、前橋組の総長なんだよね?』
………へ?
あれ?
知らないの?
「………はい、そうですよ………?」
ご存知なかった?
『そっか。なるほど』
「知らなかったんですか」
『ううん。知っていたけど。城時さん、全く関係ないっていうものだからさ』
………で?
『城時さん、暫くホストを休むっていうから。暴走族関係かなって』
「………はぁ」
『それも2月も』

………2月!?
何で?
『お客が嘆いているんだ。予約入れてたお客は大激怒。城時さん、何を考えているのか』
「………私、聞いてないです」
『え?』
「………今、一緒に住んでないから」
『………そうなの?』

2月も休むなんて。
負けて大怪我でもしたときの療養期間みたいな………。

───負ける気でいるの?
あるいは。

『あ、東!!!』
『ちょ、城時さん!?オーダーは?』
『うるせぇ、勝手に人の………』

争っている音が聞こえてきた。
上時の声も混ざる。

『テメェ、返せ!!』
『嫌ですよぅ。おもしろいのに』
『おもしろかぁねぇ!!』
『何々?エロ画像でも入っているとか?』
『そんなみっともねぇクソガキと一緒にすんな!』

………。
何、この。
『文香ちゃんと話してただけですよぅ。あ、返して欲しいなら』
『………また条件か』
『ご名答ー♪』
『………またくだらねえことを、』
『文香ちゃん、愛してるって言ってみなー』

「────────ッ」
何を………。
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