代償

夢中でパフェを食べる。
アイスで頭がキーンとなる。
「そんなに焦らないで。ゆっくり食べなよ」
………溶けるもん。
ゆっくり食べたら。
「あの上城がなぁ。珍しい」
上時が使ったカップを洗っている。
「総長なんて座にいるから恐れられてるのか。見た目も怖いけどね」
真っ白い布で水気をとり、棚にカップを戻した。
………マスターさん、細かいよ。
「文ちゃんは、怖くない？」
………十分に怖いです。
昨日、拾われたばかりだよ。
首を横に振る。
「だよねぇ。何なんだろ、あの右頬の傷。抜糸ささってないし」
………傷も、ピアスも怖いよ。
両耳に輪がそれぞれ３つ。
右の一番上には大きな、青のグラデーションピアス。
………どんな趣味してるの？

「でも、いい男だよ。上城は。なんたって、前橋組だよ。ケーサツも信頼する。暴走族っつーレッテル、なくせばいいのにね」
ケーサツも信頼する暴走族・前橋組。
………もう暴走族じゃないじゃん！
「ここらのトップまで握っちゃって。治安維持的なこともしてるんじゃない？」

………治安維持！！
どんなだよ！！

でも………

あいつは、両親を殺した。
絶対、復讐する！！