代償
前橋組は。
多分、いや。

完全に崩壊する。
俺は、何とはなしに気付いている。
それが本当かどうかは、知らない。
それが本当なら。

申し訳ないことばかりだ。
ここまで続いてきた前橋組を、俺の代で途絶えさせることが。

途絶えさせたくない。
本気で思う。
総長の座を、木屋───キャーラに渡せば。
まだ続くか?
あるいは、奴等に渡してしまうか。

───荒れるだろうな。
ここは。
実際。
荒れ始まっている。
俺も。
もうダメだな。

力がない。
過去に囚われて、縛られて。
いつまでも抜け出せない。
過ちに気づかず。

終わらせようか。
ラクに。
傷口から腐って。
前橋組も。

ガンは俺だ。
ガンに冒される正常なやつら。
巻き込んで。
───もう。


解散、だな。
ギスギスした空気も。
もう、吸いたくない。

『上時総長、死にたいの?』
真っ向から、キャーラにも言われている。

死にたいさ。
ラクに。
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