代償
「文香ちゃん?」
蹲る私に、監視する人が言う。

───待ってよ。
───待てよ。
───何?
これ。

「───文香ちゃん!?」
「救護の奴、呼んでこい!」
吐き気がする。
何だろ───。
───まさか、だよね?
違うよね?

わぁっと、声が聞こえた。
身体をはった決闘。
凄まじい───。

みんな。
血祭りって、いうのかな。
───。
血を浴びて。
「文香ちゃん、どうしたの?」
救護の人は、女の人だ。
「………何でも、ないです。………少し、気分が悪くなっただけで」

ただ、目でおう。
上時やキャーラ、ユートさん。
麻賀族長や勇人さん。

「───何で、決闘すると思う?」
「───え?」
救護の人が言う。
「どうして、下時が、前橋に決闘なんか申し込んだか」
「………総長の座?」
「それも、アリ」
──それも、アリ?
その他に、意味があるの?

「文香ちゃんは知らないよね」
「………」
「前橋が崩壊寸前てことは知ってる?」
「───はい」
「実は───」



───相殺、させるの?
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