代償
~上時side~


クッソ………。
着物重い!!
何で前橋組の族長正装、振袖なんだ!?
確かに代々受け継ぐが!!
重い!!

「着物美人じゃないか、上時総長」
ここに来る前、散々言われた。
───死のう。
これは。
重いし。
疲れるし。

眠いし。

「どうした、上時」
麻賀ぁ。
終わらせようぜ。
眠いんだよ。
「………」
「随分、弱ったな」
「───」
「前、こうした時は、ヘーキで潰したのにな。何があった?」
ニタニタ笑いやがって。
キモい。

その他に、
「刃物を捨てろ。卑怯だろ」
「上時総長は刃物がお嫌いで?」
「こっちは素手なんだ。刃物を捨てろ」
手に持っている、サバイバルナイフ。
刃渡りが───。

身体を数ヶ所、血で染められている。
「真っ赤に化粧してあげたくてね。似合っているぞ、上時」
───何で、そんなに余裕綽々なんだ。
こっちは、身体が重くて仕方ないのに。
───何でだ?

着物は、確かに重い。
体調は、悪い。
ここに来る前───寝ていない。
ったく。

「余所見するほど、随分余裕だな!!」
「─────!!?」
思い切り、横っ面を殴られる。
コンタクトが、片方外れる。

「まさか、余所見するとはな。落ちぶれ総長さん」
黙れ。

「───上時総長!!」
聞き慣れた声───、


「───木屋、やめろ!!」
麻賀の後ろをとったキャーラ。


「前橋組の奴ら、バカだよな」
不気味に笑って、サバイバルナイフを水平に振った。
後ろのキャーラ目掛けて。
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