代償
「これから何度も何度も傷付くよ、文香ちゃんは」

何で?
これ以上、傷付かないよ?
傷付きすぎて、付く場所なんて残ってないよ。
───殆ど、大切なもの失ったんだよ?

「───」
「きっと、残酷な結末が待ってる───耐えられる?」
「───残、酷?」
聞き返すと、キャーラは頷いた。
総てを知ったみたいな───。
「最悪、誰かが───」

死ぬよ。
それは──上時総長かも。
それは──文香ちゃんかも。
──僕かも。
──凜音かも。
──ユートかも。
──マスターかも。

───お腹の子かも、知れないね。

………何を、謳っているのか。
私の周りの人ばかり。
───死ぬ。
………それが、本当に叩き付けられる事実、結末なら?

私に分かるのは。

────人を不幸にしか、出来ないということ。
………これこそ、残酷な事だよ。


あの時。
死んでいれば良かった。
上時に見付からず。
どこかで。
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