代償
「総長、大丈夫ですか?」
「ん?」
「何で平気なんですか!?」
「だから慣れだ」
青ざめる仲間達。
「仕事は地獄だからな。白、赤ワインのチャンポンなんか死ぬほど飲まされる。トイレで吐くけどなぁ。アル中になっちまう」
………アル中!?

「総長ってすげぇよな。いくら酔っても理性を崩されねぇ。常識わきまえて、危険なことは危険。うまく対処するからなぁ」
確かに。
赤くなってる仲間達に比べると、全くもって真っ白。
………逆に白くなってない?
黒髪が目立つよ。
「総長って髪を染めないよね。何でだろ」
「ピアスがあるからじゃないか?」
………ピアス?

そう言えば、付けてない人が多い。
小さいピアスを付けているのはキャーラにユート、他は指で数えられる。
不思議に思っていると、
「前橋組はさ、総長に認められて初めてピアスを付けれるんだ」
………わーお?
「つまり、階級的な。総長は代々受け継ぐピアスがあって、………上時総長は付けてないけどね」
「正装に付けてただろ?」
「だったね。ほんで、許可なく付けたら族を追放されるんだ。前橋組はケーサツに信頼されてる分、規律が厳しくて」

………へぇ。
「髪は、黒、茶、金のどれか。何でだろ?総長は染めてないね」
「傷めたくないんじゃないか?」
「一理ある」
笑って、話を続けた。
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