代償
「………あぁ、疲れた」
「上時総長が疲れたって言うなんて珍しいー」
「煩い。お前らの煩さに疲れたんだ」
「そっかぁー」

上時は、たくさんの仲間に囲まれて、うんざりしてる。
本当に信頼されてるね。
人気なんだね。
だから、前橋組は最強なんだ。
「文香、帰るぞ」
………えぇー………。
まだいたいよ。
「総長、まだいたいって」
「そうか。じゃあキャーラ、後で送って来い。手ぇ出したら殺すからな」
「知ってる。僕は彼女持ちだからね。浮気したら殺されるよ」
キャーラは笑顔で言う。
彼女持ちね。
安心していいのかな。

「程々の時間で帰って来い。遅くなるなら来る」
………わーお。
以外と優しい面が。
「じゃあな」

マスターに一万円札を渡し、店を出た。
「背ぇ高いよね。やっぱカッコいいなぁ。いい匂いしそう」
「文ちゃん、こいつは時折変態化するから気にしないで」
………そうですか。
………匂いって。
「香水付けてるよね~。柑橘系の」
「なんだろうな。柑橘系って」
「どれも似合うしいいなぁ~」
「文ちゃんがどっぴくぞ。やめろよ」
キャーラは、何なんだろ。
ユートはツッコミだし。
キャーラはボケ?
………そんなわけないよ。
「僕は何だろ?」
「自分で付けてて分からないと?」
「うん!」
「………バカか」

バカか、天然なんだね。
< 29 / 195 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop