代償
「何した」
………いや、その首の赤いの何?
指で、自分の首を示す。

「首?痛いのか?」
違うって。
あんたの首だよ。
手鏡を渡す。
首を写して、


「………は?」
凍った表情になる。
………何で?
………まさか、キスマーク?
………上時?

「………はぁ………無駄なことしてくれたなぁ………」
立ち上がって、
「風呂入る。悪い、続きは後だ」
………うん。

また入るのか。
はーい。



1時間後。
「はぁー………」
再び、ソファーに寝転がる上時。
首が真っ赤だよ。
「………うん………旨い………」
コーヒーを飲んで言う。
………美味しいならいっか。
………あーぁ、言葉が言えたらなぁ。

………もう。
………復讐の相手に何したい思ってるんだろ。
「………文香、気にするなよ。何でもないから」
………気になるから。
もし、キスマークだったら?

………ダメだよ。
そんなこと思っちゃ。
嫉妬なんかしてないよ。
こんな男のことに。
つけた女の人に。

「………文香」
………はい。
「………来い」
………はい。
「膝、貸せ」
………………はい?
「早く来い。眠いんだ」
………はぁ。

ん?
膝を貸している間、こいつは無防備?
殺せる?


「………」
………どうしよう。
ダメだ。
男の人に、膝を貸すって、ことは。
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