代償
………約1時間半。
………まだ?
「………んっ………んぅー………」
………………ぁぁ………。

可愛いなんて思ってない!!
………。

「………ん、」
………何それ。
………何で眉間にシワ刻んでるの?
悪夢でも?
わるーございました!
私の膝枕で悪夢なんて!
………魘されてない?
………どんな夢見てんの?
その前に、夢見るの?
人なら見るか。
………人だったの?

「………ん」
お早うございます。
上時さん。
「………あ、仕事………」
時計を見て項垂れた。
遅刻?
遅刻だね。
遅刻だな。
「………サボるかな」
………!?

腰に腕が巻かれる。
ちょ、ちょっとー!!
「………くびれてる。寸胴じゃないんだな。お前」
だーかーらー!!
離れてよ!!
動けないし!
「文香、動くな」
ええ!?
何で!?
「………久しぶりに若い奴の身体、触ったなぁ」
………へんたーい!!
何言ってんの!?
変態変態っド変態ー!!
「柔らかい………温かいし………」
「っゃ………ぁ!!」
「何言ってんだ?ちゃんと言葉話せ」
声が出ないんだよ!!
「………ん!!」
「へー。喘げるのか?」
………!!
何?
………そんな………!!
喘ぐとか………!
「ははっ苛めがいのある奴ー」
………っ!
腕退けてよ!
上時!!


………!!
着信音が響く。
「お、電話」
上時の………?
膝に頭を乗せたまま、片手でケータイを取る。
「もしもし………」
………だーかーらー!!
退けて!!
「………うん………ん?………あぁ」
お構い無しかい!
「暇なら………な」
何が!!
私を見上げて、
「暇なら遊んでやれ。冬休み中で暇してるみてぇだからな」
電話の相手はユート?
あるいはキャーラ?
キャーラのほうが好きだよ。
面白いから。
「………あぁ。………じゃぁな」
電話を切って、ケータイを置いたら!
「寝る」
離れるでしょ!!
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