代償
………はい。
お約束的な。
「あれぇ~?下時組?何でぇ~?」
ぬいぐるみをたくさん腕に抱いて、首をかしげる。
「だってさ、上時総長に潰されてなかった?上時総長、楽しかったって言ってたぞ」
「は?上時総長?お前らの総長、上時っつーのか」
「つまんねぇ名前だな」
………はい?
いやいや、…………名前は。
「ガキと女には興味ない。そこの高校生に用がある」
………高校生?
あぁ、私?
何か?
「お前の家は下時組だろ?黙って下時組に来い」
いや、嫌です。

『バカばっかだから』
上時が言ってた。


1人が近付く。
凜子さんが、私を庇う。
キャーラは………

「あーぁ、パフェ食べたーいっ」
………。
「僕、喧嘩好きじゃないよぉー。痛いし。でも」
「ゴチャゴチャ煩い!さっさと来い!!」
キャーラを押し退け、凜子さんに手を伸ばす。


「『死んでも文香は守れ』って、きつぅーく上時総長に言われてるからぁ」
押し退けた男が、はっとなって振り向く。
キャーラの声が、キャーラの声じゃない。

「前橋組ってさ、規律が厳しいんだっだから………」
キャーラが男の衿を掴む。

「緊急時………しかできないんだぁ」
極上の笑顔で、キャーラは拳を振りはじめた。
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