代償
………。
朝早く。
お風呂、沸かさなきゃね。


沸かして、さあ、作るか。
鍋に水を入れて、沸騰させて。
あ、具材入れてね。
ご飯も炊飯器に入れて、OKー!
筑前煮は、煮込むだけだから。

『7時頃帰る。コーヒーよろしく』

ケータイをチェックして。
メールはこれだけ。
………コーヒーね。
………後でいっか。


ソファーに寝転び、天井を見上げる。
………あぁ、何かなぁ。
「………ぁ」
………声、出ないなぁ。
発声練習してるのに。
………不便。
上時だって、そうだと思う。
………ごめんなさい。

なんて、何で反省!?
私が声出なくなったの、親戚の人たちのせいじゃん!!
下時組の!!
………前橋組に来て良かった。


私………死んでた?
上時に拾われなかったら。
死んでただろうね。
下時組にいたら、弄られて死んでた。
前橋組に入って、保護されてる。
上時総長から、キャーラ、ユート、マスター。
たくさんの前橋組の族員。
暴走族のトップに堂々と君臨し、厳しい規律の中、前橋組は頂点にいる。
力も、頭脳も、正義感も。
信頼感や、信用度も。

………私、シアワセなのかな。
これでも。
上時といられて。


午前7時。
「ただいま」
暴走族・前橋組の総長、上時は帰ってきた。
日本食、できてるよ。
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