代償
コーヒーを持ってくる。
文香が淹れるコーヒーは、俺が淹れるより美味い。
慣れ、だろう。
近くのテーブルに置く。
文香に隣に来いと言うと、さらに不安に駆られたんだろう。
すくんで、動かない。
イラつく。
「遅い!」
手首を掴んで、引っ張る。
抵抗なんか、させない。
力ずくでソファーに押し倒す。
そして、気付いた。
こんなこと、するべきじゃない。
罪悪感に駆られる。
クソッ………何で、こんな。
どうしようもなく、文香に覆い被さる。
胸に肘を張る。
張れよ、好きなだけ。
少しは抵抗させてやる。
「ぅぇ………ぉぃ?」
母音しか言えないんだ。
まだ。
子音がなくて、分かりづらい。
が、唇の動きで大体分かる。
………何で、喧嘩の時に笑うの?
余裕を見せるためだ。
笑う意味は。
………このままでいて。
驚いた。
まさか、そんなこと、言うなんて。
憎い相手にそんなこと、言えるのか?
不安、だからか?
………だよな。
離れようとして、
「………!」
離れられない。
背中に手を回されている。
さっきまで、胸に肘を張っていたのに。
真逆だろ、こんなの。
バカ。
朱に染まった頬。
可愛いな。
素直に言ってしまう。
客じゃ、こんなのはない。
ただ、欲を満たしたいだけの客。
欲張りで、浅ましい。
文香は、違うのか?
少なくとも、同じじゃない。
ねだれる時にねだって、それ以外はねだらない。
いい子だ。
頭が、いいんだ。
文香は。
文香が淹れるコーヒーは、俺が淹れるより美味い。
慣れ、だろう。
近くのテーブルに置く。
文香に隣に来いと言うと、さらに不安に駆られたんだろう。
すくんで、動かない。
イラつく。
「遅い!」
手首を掴んで、引っ張る。
抵抗なんか、させない。
力ずくでソファーに押し倒す。
そして、気付いた。
こんなこと、するべきじゃない。
罪悪感に駆られる。
クソッ………何で、こんな。
どうしようもなく、文香に覆い被さる。
胸に肘を張る。
張れよ、好きなだけ。
少しは抵抗させてやる。
「ぅぇ………ぉぃ?」
母音しか言えないんだ。
まだ。
子音がなくて、分かりづらい。
が、唇の動きで大体分かる。
………何で、喧嘩の時に笑うの?
余裕を見せるためだ。
笑う意味は。
………このままでいて。
驚いた。
まさか、そんなこと、言うなんて。
憎い相手にそんなこと、言えるのか?
不安、だからか?
………だよな。
離れようとして、
「………!」
離れられない。
背中に手を回されている。
さっきまで、胸に肘を張っていたのに。
真逆だろ、こんなの。
バカ。
朱に染まった頬。
可愛いな。
素直に言ってしまう。
客じゃ、こんなのはない。
ただ、欲を満たしたいだけの客。
欲張りで、浅ましい。
文香は、違うのか?
少なくとも、同じじゃない。
ねだれる時にねだって、それ以外はねだらない。
いい子だ。
頭が、いいんだ。
文香は。