代償
連れてこられたのは、ケータイショップ。
真面目にですか。
「電話、メール、その他適当に使えるケータイって何かあるか
………えぇ!?
「はい。それでしたら………」
………はい!?
「だとよ。文香、どれがいい」
怖いから見下ろさないでぇ!
180センチは軽々ある身長で!
「………おい、文香」
低い声で言わないでよ。
怖いから………。
とりあえず、頷く。
「バカ。頷いたんじゃ分からねぇよ。指くらい指せ」
あ、そっか。
黒いケータイを指差す。
「じゃ、これで」
即決。
上時、何でいきなりケータイ?
訳分からなくて怖いよ。
ケータイが手の中に収まる。
起動させ、ホーム画面を表示する。
「ほぅ、手慣れてるな。女子高生ならスマホなんてオモチャなんだろうな」
………オモチャて。
「アドレス作ったらよこせ。声出ねぇなら仕方ねぇだろ」
……あ、そっか。
何も通じないもんね。
これじゃ。
ケータイショップの帰り、喫茶店に寄ってアドレスを作った。
………上時、あんたには喫茶店よりバーのほうが似合うよ。