代償
「………おい」
上時総長、帰宅しました。
メチャメチャ不機嫌………!!
あのメールのせい?
………何なの?
「どういうことだ、文香。死にたいのか」
………!?
バレた?

キャーラと別れたあと、勇人さんと会って。
………何で?
「ガキの分際で密会か?偉くなったなぁ」
ソファーに座って、見上げてくる。
………怖い。
「何とか言えよ、ガキ」

何で?
一回しか、会ってないよ?
会っちゃ、ダメ?
会いたいんだよ、私。
それを、何で阻止するの?
前橋組とか、下時組とかって。
暴走族、関係ないじゃん!!

勇人さんが下時組の人だから!?
私が昔、下時組の人だったから!?
今、敵方の前橋組にいるから!?
だから何!?
そんなの、

「………っめ、させ、てよ!」
「ああ、ご自由にどうぞ。なーんにも困らないしなぁ。ガキ」
………っ。
「先輩ー、だろ?適当に行けよ。段ボールに荷物突っ込んで送ってやるからよ。さぁ、出てけ」
………!?
「借金、取立てに行くからな。毎晩、また地獄を見るか」
………!
「出てけ。ガキ」

………ッ!!!

ドアを開け放して、外へと走る。
何で何で何で!?!?
訳分からない!!
上時が何したいのか、前橋組が何したいのか。
何を頼ればいい!?


マンションを出たところで、
「………ゅ、う………」
勇人さんがいた。

「おいで。文香」
手を差し伸べてきた。
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