代償

喧嘩の中。

~上時side~

………。
『決めさせてよ!』
奴が、初めて怒鳴った。
開け放たれたドア。
物音1つない。
………何なんだ。

ブラックリストは、前橋組も、警察も目を付けている。
………まさか、奴にそんな先輩がいたとは。
………初耳だ。
最初に言えよ、バカ野郎。
向こうの内通者と、知り合いなんてな。
………クソッ!


「………バカ野郎………」
今頃、言いやがって。

勇人は………目をつけて暫く経つ。
奴は、天才ハッカーだ。
しかも、裏の。
マスターは、ホワイトハッカー。
マスター曰く、奴はヤバいらしい。
………なんでそんな面倒な奴が。

『上時総長、文ちゃんの先輩、勇人だって。警戒して』
キャーラからのメール。
………仕事の真っ直中に。
気が散った。

「………どうすんだ、こんな時に」


『果たし状』
と、いう名の。
決闘の申し込み。
………よくも、まぁ懲りずになぁ。

下時組だ。
マスターの店に送られた果たし状。
聞いて呆れる。
呆れないわけない。

無論受ける。
ぶっ潰す。

が。
文香を盾にしたら?
俺がゾーンに陥ったら、文香まで殺し兼ねない。
いや、殺す。

ゾーンに陥ったら………。
止まるまで、止まらない。
暴れる限り暴れ………。
今まで、何人殺した?

………そんなことしたら………。
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