後の祭り、祭りのあと
「今日の告白もだけど、みんなすぐに断ったよ。“好きな子がいるから付き合えない”って。告白されるたびにいつも、美紗の顔が浮かぶんだよ。どんなに可愛かったり美人な子に告白されても、必ずな。俺と馬鹿みたいにはしゃいでるときの笑顔も、一人で拗ねてるときの不機嫌な顔も。全部、俺のものにしたいって思ってた」
耳の傍で紡がれる言葉が嬉しかった。
そこでやっと気付く。告白されていたとき、雄大が笑顔を向けていたのはあの女の子ではなくて、あたしだったんだ。
誰かに想いを告げられているときに、雄大の心を支配しているはあたし。それだけでもう、泣いてしまいそうになるほど嬉しい。あたし、意外と泣き虫なのかもしれないな。
「……いいの? あたし、可愛くもなんともないよ?」
「いいって言ってんじゃん。俺から見たら、美紗は十分可愛いし」
「なっ、何言ってるの……って、ちょっと!!」
抱き締められていた身体を離されたと思ったら、脇の下に手を入れて持ち上げられた。そして今度は雄大の膝の上に跨ぐように乗せられる。
向き合ってあたしが雄大を見下ろすような体勢になって、雄大の瞳が少し下から見上げてきた。熱っぽい真剣な瞳に捕らわれたら、従うことしか出来ない。
「……っていうか、そろそろ返事くれない? 俺、待ちくたびれそうなんだけど」
雄大の肩に手を置いて身体を支えながら、じっと雄大の顔を見る。
あたし、知らなかった。雄大がこんなにも真剣な瞳になること。そして優しくてとろけてしまいそうな表情であたしを見ること。
本当は気付いていなかっただけで、こんなにも想われていたんだ。きっと天秤に二人の想いを乗せても釣り合うほど、同じくらい。
手を伸ばせばもう、君はすぐ傍にいる。触れられるほど近くに。だったらもう、躊躇うことなんて何もない。