後の祭り、祭りのあと
「なぁ、行かねぇの?」
耳に届いた雄大の二度目の問いで、ハッとする。横を向くと、雄大がこっちを見ていた。
不自然に思われないように、そっと視線をグラウンドの中心に向ける。
「……行かないよ。だって自由参加だし」
まあ、後夜祭は文化祭の延長だけれど、あくまでおまけみたいな感じで。だから一般客は昼間しか来られないし、後夜祭の参加も出来ない。
それに加えて生徒も、後夜祭は自由参加になっている。だからお祭りとか賑わったことが苦手な人は参加しないんだと思う。
でもグラウンドには、全校生徒とまではいかないけど結構な人だかりが出来ている。みんな何だかんだ言って、こういうのは最後まで参加するものなのだろう。
だからここで後夜祭に参加するわけでもなく、遠くから見学しているあたしは、かなりの変わり者なのかもしれない。
聞こえてくる賑やかな声が、祭りの終わりを惜しんでいるみたいだった。
「ふぅん、そっか」
そっか、の雄大の一言が、静かなふたりきりの場所に響いた。
驚いているのか、納得しているのか。それとも、落胆しているのか。感情がよくわからないその一言に、とても切なくなった。
そもそも自分がどんなふうに反応して欲しかったのかもよくわからないのだけど、勝手に心の中で雄大に八つ当たりをする。むすっとした表情で、問い返した。
「雄大こそ、後夜祭出ないの?」
「出ないよ。だって俺、フォークダンス踊れねぇし」
「ふは、何それ」
まさかそんな理由で後夜祭に出ないなんて思いもしなかったから、ちょっとびっくりして笑ってしまう。
確かに後夜祭のメインイベントは、キャンプファイヤーを取り囲んでのフォークダンスだけども。そのメインイベントを拒まれてしまっては、元も子もない。