後の祭り、祭りのあと
「なんだよ、笑うなよー。真剣に言ってるのに」
「いや、だってさぁ。まさかそんな理由で出ないとは思わなくて。それにフォークダンスなら、一応体育の授業で習ったでしょ?」
「習ったけど、苦手なんだよ」
唇をとがらせて、少し拗ねたようにそう言う。まるで、子供みたい。
……まあ、子供みたいに可愛くはないけど。
そういえば、と。先日の体育の授業風景を思い出した。今日のために、一応行われた一度きりのフォークダンスの練習。
そういえばあのとき、雄大のダンスはぎこちなかったっけ。他の子ももちろんあたしもそれなりにぎこちない動き方をしてたけど、雄大はそれに輪を掛けたようなぎこちなさだった。
先生に「それ、わざとなのか?」と呆れて言われるほどで、「俺、真面目っすよ!」と言ってクラスメートを笑わせていた。それぐらい、本当に下手だった。
変なところで不器用なんだよね。
進んで調理係になって、大量の焼きそばを軽々と焼いちゃうところとか。打ち上げの幹事になって、人を集めるところとか。そういう人の中心にいて行動するときは、すごく器用だと思う。
でも1対1で、何かをやるときとか。そういうの、急に何も上手く出来なくなる。
一体こいつのシステム、どうなってるんだろう。いっそ覗いてやりたいと思う。
頭の中とか、心の中とか。いつもひた隠しにしている部分を覗ける道具があるなら、どんなにゼロが多くついたお高い金額でも、頑張って手を伸ばすのに。
……なんて、そんなくだらないこと。本気で考えているあたしは馬鹿か。馬鹿みたいだ。
もしも本当にそんな道具があれば、逆にあたしが覗かれてしまって困るだけ。一番覗かれていけないのは、自分なのに。
ほんと、馬鹿みたい。